シャンパンを寝かせる洞窟”カーヴ”

 

シャンパン入門 (長いです)

 目次

 1.そもそもシャンパンとはどんなお酒

 2.シャンパンの条件

 3.シャンパン以外のスパークリングワイン

 4.シャンパーニュの歴史

 5.ドン・ペリニョンさんの活躍

 6.

そもそもシャンパンとはどんなお酒?

「シャンパン」は“champagne”と綴ります。
「シャンパン」は日本独特の読み方。
英語では「シャンペン」、
フランス語では「シャンパーニュ」と読みます。

シャンパンというのがどんなお酒なのかと聞かれたら、
一番簡単な答えは「泡の出るワイン」です。
そうです。
シャンパンはワインの中の一種類なのです。

大雑把にいえば
ワインというのは葡萄ジュースを発酵させて
アルコールを生み出させた飲み物のことです。
「糖分がアルコールに変わってしまった葡萄ジュース」
がワインです。

シャンパンもそうしたワインの一つです。
ところが、
シャンパンと普通のワインとで大きく違う点があります。
そうです、
シャンパンは“シュワシュワ”と泡立っているのです。

この泡は、葡萄ジュースの糖分が
アルコールに変わるときに
自然と発生する炭酸ガスなのです。

そもそもワインというのは
生まれる過程では“シュワシュワ”と
炭酸ガスを発生させているものなのです。

シャンパン以外の普通のワインは
密閉性の無い樽や容器の中で発酵が完了するので
出来上がったワインは
発泡していないだけのことです。

ワイン以外でも、日本酒もみりんも
「発酵」させてある食品や飲み物は
みんなガスを発生させています。
ちょっと汚い話ですが、
生ゴミや、
鍋に残ったシチューが腐るときですら
(これは発酵とは言わず腐敗と言いますが)
ガスを発生しています。

シャンパンというのは、
そうした発酵過程で生まれる炭酸ガスを
上手にワインの中に溶け込ませて
完成させたもののことです。

シャンパンというのは「泡の出るワイン」のこと。
その泡は「自然に生まれて溶け込んでいる」こと。
この2つを押さえておいてください。

さて、 世の中には、
シャンパンのような 自然に発生した
炭酸ガスを溶け込ませたワインだけでなく、
後から強制的に
炭酸ガスを吹き込んだ飲み物もあります。
コーラやジンジャーエールなどの
炭酸飲料が代表的なものです。
そしてワインにも、
コーラと同じように、
後から炭酸ガスを封入したものがあります。
こうして作られたワインも
シャンパンと同じように
“シュワシュワ”と泡が出ます。

これらの発泡ワインも、
そしてシャンパンも 全部まとめて
「スパークリングワイン」という分類になっています。

ですから、シャンパンというのは
ワインの中の一種類、
スパークリングワインという分類の中の
“ちょっと特別なもの”
ということになります。

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シャンパンの条件

では、シャンパンがちょっと特別なのは
どこが、どう特別なのでしょうか?
これについて説明していきます。

まず、
シャンパンと名乗るからには、
フランスの
シャンパーニュ地方の生まれでなければ駄目です。

何故なら
そもそもこの
「泡立つワイン」が最初に発見され、
製法の研究が進み、
今のシャンパンの形になったのが
フランスのシャンパーニュ地方だったからです。

2つ目の条件として、
その製法が
先に説明したような
「自然と発生した炭酸ガスを閉じ込めたもの」
でないと駄目です。
しかも、密閉タンクの中で閉じ込めるのではなく、
壜の中で閉じ込めないと駄目です。
これは専門用語で「壜内二次発酵」といいます。

当然、
コカコーラ方式は駄目です。

3つ目の条件として、
使用する葡萄の品種が限定されています。
巨峰やマスカットではシャンパンにはなりません。

この3つの条件が
シャンパンを名乗るための基本です。

他にも細かな決まり事があります。
一定の広さの葡萄畑に
植えていい葡萄の樹の数とか、
ある重量の葡萄から
絞っていいジュースの量だとか、
熟成期間は最低これ位とか、
高い品を維持するための
細かなルールがたくさんあり、
そうした努力のお陰で
今でもシャンパンが
「最高のスパークリングワイン」
である続けることが出来ているのです。

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シャンパン以外のスパークリングワイン

ここで少し
シャンパン以外の
スパークリングワインについてみてみましょう。

今まで説明しましたように、
シャンパンは大変に限定されたスパークリングワインです。
シャンパン以外のスパークリングワインを
「造っている場所」と
「造っている方式」との
2つの観点からみてみます。

まず「造っている場所」ですが、
フランスの
シャンパーニュ地方以外で造られるスパークリングワインは、
「ヴァン・ムスー」や「クレマン」と呼ばれます。
“ヴァン”というのは「ワイン」
“ムスー”は「泡」ですね。
シャンパン以外のフランスのスパークリングワインは
「泡のワイン」と呼ばれているわけです。

同じように、
イタリアでは「スプマンテ」
スペインでは「カヴァ」や「エスプモッソ」
ドイツでは「ゼクト」や「シャウム・ヴァイン」
カリフォルニアやオーストラリアでは
「スパークリングワイン」
と言う風に呼んでいます。

どれもそれぞれ
より美味しいスパークリングワインを造るべく
大変な努力をされている造り手が増えています。
今や、
シャンパンだけが良いスパークリングワインとは言えません。
各国のスパークリングワインについての詳しい事情については、
後ほど詳しくお話します。


「造っている場所」の次は
「造っている方式」についてです。
スパークリングワインの造り方には
3つの方法があります。

まず、先ほどもお話しましたように、
シャンパンのように
壜内で炭酸ガスを閉じ込める方式があります。
これは「シャンパン方式」といわれます。
「メトード・シャンプノワーズ」
または
「メトード・トラディシオナール」と表記されます。
これが1つ目です。

2つ目は
壜内ではないけれども、密閉したタンクの中で
自然に発生した炭_ガスをワインに閉じ込めた後
壜に移す方法です。
これは「キュヴェ・クローズ方式」といいます。
この方法はシャンパン方式より簡単ですが、
含まれる泡は自然に発生した炭酸ガスですから、
かなりシャンパンに近いものが出来ます。

最後の3つ目は「コカ・コーラ方式」です。
これは普通の白ワインに
後から炭酸ガスを圧入するわけですから、
最も簡単なスパークリングワイン製造法です。
この方式で作られたスパークリングワインは、
泡立ちが細かくありませんし、
ガスの抜けも早いようです。
細かな泡が延々と立ち上りつづけるのが
シャンパンの最大の魅力なのですから、
この「コカ・コーラ方式」で造られた製品はお勧め出来ません。

このように、
「造っている場所」と「造っている方式」により
世界中で様々なスパークリングワインが作られており、
その中で、元祖でもあり、
品ソ面でも、歴史や伝統といった面でも
最も抜きん出ているのが
シャンパーニュだということになります。

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シャンパーニュの歴史

世界で一番素晴らしいスパークリングワインとして
確固たる地位を築いたシャンパンですが
その誕生と発展は
どのようなものだったのでしょうか?
また、
あの有名なドン・ペリニヨンさんは
どこで、
どのようにシャンパンを進歩させたのでしょう?

シャンパーニュ地方は
フランスの地図上では右の上、
パリからは時計の2時の方向へ
150kmほど行ったところにあります。
緯度でいうと随分と北にあり、
日本では青森県あたりになります。
えらく北にあるわけです。

シャンパーニュ地方というのは、
現在の行政区分上では使われていない呼び方で、
言ってみれば
「大和」「備前」「越中」などのような
昔の呼び方です。
現在は、
中心都市のランス(Reims)、エペルネ(Epernay)を含む
マルヌ県などの4つの県に分かれています。

この地方で、なぜ
素晴らしいスパークリングワインが生まれたのでしょうか?
ごく簡単にですが、
私の推測も交えてお話したいと思います。

まず、このシャンパーニュ地方で葡萄が栽培され
ワイン作りが盛んになったのは、
遠くローマ帝国以前にまで遡ります。

ローマ人が、当時ガリアと呼ばれていた
現在のフランスを征服した時
その征服地でもワインを楽しむために
葡萄を栽培し、
本格的にワイン作りを行ったのが、
シャンパーニュ地方のワインの始まりです。
もちろん当然のシャンパーニュのワインは
スパークリングワインではありませんでした。

さて、そんな昔から
ワイン作りがなされてきたシャンパーニュ地方ですが、
その発展のポイントがいくつかあったと思います。

まず、パリという一大消費地に近かったことです。
運搬事情の悪かった昔のことを想えば、
大規模な消費地に近い産地が栄えるのは
当然のことでしょう。

また、パリが発展する以前も、
シャンパーニュ地方は
東に今のルクセンブルクやベルギー、
さらにドイツに接しています。
シャンパーニュの中心地であるランスは
昔は交易の中心地として栄えていました。
国内の大消費地に近いだけでなく、
国外への輸出にも適した立地にあったのです。

こうした立地面での優位性だけでなく、
強力なライバルの存在も
シャンパーニュのワインの発展に大きく寄与したことでしょう。
そのライバルとは、
カリフォルニアのスパークリングワインではありません。
その頃既に良質のワインを産していた
ブルゴーニュやボルドーです。

パリの王宮だけでなく、
イギリス向けに輸出するワインにおいては、
ブルゴーニュやボルドーは
極めて強力なライバルだったわけです。

歴史的にみても ボルドー地方は、
イギリス領だった時期もあったはずです。

こんな感じで、
シャンパーニュのワインは
地の利を得ながらも
強力なライバルに揉まれ
決して今のような確固たる地位を
築いていたわけではなかったのです。

ここでいよいよ
ドン・ペリニヨンさんが登場してきます。

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ドン・ペリニョンさんの活躍
  当時ワイン作りは
多くが修道院の手によっていました。
よく知られているように、
ドン・ペリニヨンさんも
ベネディクト派の修道僧として
シャンパーニュ地方の
オーヴィレール修道院で働いていたのです。

ペリニヨンさんが修道院の酒庫係に任命されたのは
1668年、29歳の時のことだそうです。
太陽王と称されたルイ14世の治世で、
「ベルサイユのばら」の少し前の時代ですね。
日本では徳川時代の前期、
当時の将軍は‥‥
知りません!

どうも世間では、
シャンパンというのは
ドン・ペリニヨンさんが発明した、
というのが通説になっていますが、
それは正確ではないようです。

先にも述べたように
ブルゴーニュやボルドーといったライバルの存在から
ペリニヨンさんを含むベネディクト派の修道僧たちは
何とかより優れたワインを造るために
日夜研究を重ねていたようです。

一番最初にお話したように、
ワインが発泡すること自体は
まったく珍しくないことですから、
誰かがシャンパンを「発明」したり「発見」した
という表現は正しくありません。

ベネディクト派修道僧グループの功績は
一言でいえば
「泡を上手に閉じ込めた」ことです。

さらに当時から
ベネディクト派修道会では
何種類かのワインを混ぜ合わせて
より美味しいワインを作るという
シャンパンの一大特徴である
“ブレンド”を行っていたようです。

その“ブレンド”に加えて
発酵の際に出る炭_ガスを
上手にワインの中に閉じ込め
「泡の出るワイン」として完成させるための
“壜内二次発酵”のノウハウを
洗練させていったのが、
ドン・ペリニヨンさんをはじめとする
修道僧のグループだったようです。

アルコール発酵によって生じる炭酸ガスを
上手く調整できなかった当時
壜内のガス圧が上がりすぎて
壜が破裂してしまうことも多々あったそうです。
「泡の出るワイン」としてのシャンパンが
安定して市場に供給されるようになるまでには、
壜の強化や、ワイン貯蔵庫の温度管理など
様々な工夫がなされています。

そして、
そうした特殊なワインを作ることになった背景には、
強力なライバルの存在があり、
緯度の高すぎるシャンパーニュ地方では、
普通のワインを作っていては
ブルゴーニュやボルドーに勝てなかったという
厳しい現実があったのです。

そうした意味でシャンパンは
まさに「人知の結晶」だといえます。
石灰質の土壌がどうとか、
偏西風がどうとか、
いろいろ言われていますし、
別にそれが関係ないとは思いませんが、
やっぱりシャンパンが優れているのは
それを生み出した人達の努力の賜物だと思うのです。

このようにして、
現在私たちが飲んでいる
シャンパンの原型が出来上がり
シャンパーニュのワインは
新しい発展のスタートを切ったわけです。

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